
エルフール亡国史
月のない夜、森は静まり返っていた。エルフの精鋭騎士団は、遠征の最終日を迎えていた。任務はオークの討伐。これまで幾度も成功を収めてきた彼らにとって、それは‘消化試合’にすぎなかった。焚き火の周囲で笑い声が上がり、哨戒の警戒もどこか緩んでいた。「すぐに任務を終わらせて帰還できるだろう」――誰もがそう信じていた。だが、夜風が変わったのはその直後だった。かすかな唸り、葉擦れの音、そして――闇の奥から放たれた一本の矢。「矢だ! 敵襲っ! どこから撃ってきてる!?」悲鳴が重なり、灯りが散る。矢が空を裂き、森が戦いの喧騒に満たされる。「煙幕か!? 前が……見えない!」混乱の叫びが広がる中、指揮官の声もかき消されていった。「落ち着け! 陣を立て直せ!」「退けない! もう敵に……囲まれて――」次々と倒れる仲間の影。夜の森に、鋼と血の音だけが響いた。敵はかつての粗暴な群れではない。統率を持ち、戦術を知る‘軍勢’だった。エルフの矜持は、たやすく踏みにじられていく。「こんな……馬鹿な……」「我々が……こんなあっけなく…」そして、抵抗むなしく敗北が決したたとき、メスエルフたちを蹂躙する、オークたちによる肉欲の宴が始まるのだった。フルカラー 36P(本編35P + 表紙など3P) d_682389