サラリーマン

職場の彼の横顔が好きだった。 夫との生活ですっかり愛情を見失っていた私を、彼は救ってくれた。仕事の相談から始まった関係は、いつしか互いの家庭の空虚さを埋め合う『W不倫』へと変わっていった。 毎日会える充実感は、やがて安らぎだけでは満たされなくなり、私たちは互いの肉体を激しく求め合った。夫への罪悪感よりも、彼と愛し合う爆発的な快楽が私を支配した。彼と密会し、彼の肉棒に頬ずりし、求め合えるなら、時間も嘘も厭わなかった。 しかし、変化は突然訪れた。彼の遠方への栄転。 別れを覚悟した私と、関係を続けたいと願う彼。彼の成功を前に、私はこの秘密の関係を終わりにすべきだと決意した。 「別れましょう」 私の決意は、彼を執着へと駆り立てた。彼は拒否すればするほど、私を強引に求めてくるようになった。 別れの期日が迫る、最後の夜。 会社の人目のつかない場所で、彼は私に今までで一番荒々しく、本能的な愛を求めた。 別れを告げた私への罰のように、しかし、魂を揺さぶるほどに強く激しいその行為は、抗いがたいほどの‘快感’だった。 別れたいのに、別れなければいけないのに。 この愛と執着の最後の炎から、私はどうやって抜け出せばいいのだろうか。 全500枚 d_705056